2013年7月21日日曜日

世界の機能に関して自然と分かる。23-1.

23-1.世界の機能に関して自然と分かる。

「そちらはどうなってますか?」

「交差点と信号機。寂れた感じのスポーツ用品店、そちらと同じ通学路と考えて間違いないでしょう。」


雪乃がそう答える。二人は、試しにあのコンビニに向かっている。店に入ると、歯の抜けた店員が「いらしゃい」と声をかけてきた。東丸は、申し訳程度に作られた端の飲食コーナーに行き、雪乃に話しかけてみた。

「……おじさんは、そちらにいる?」

「いるよー。でも、今までと一緒で私のことは見えてないみたい。」

「……なるほど。」

大体の仕組みが分かってきた。雪乃のいる世界にも、東丸がいる世界と同じ世界が広がっている。東丸がTSを開いている間は、カノジョの前に窓が開き、そこから東丸の姿が見れるらしい。東丸自身の姿は窓に投影されるが、窓が閉じている状態でも近くにいれば、どこにいるかは分かるらしい。話しかけられると声が聞こえ、雪乃の声も東丸に届くそうだ。よく観ると、窓が現れる辺りの両側に小さい黒い丸が一つずつ並んでいる。マイクとスピーカーなのだと二人は理解した。

歯の抜けた店員は、東丸の他に客がいないためか、バックヤードという名の自宅に入っていった。二人は、さらに今後のことなどを話し合ってみた。どうやら雪乃のいる世界は、実際にあるゲームのインターフェースと似た作りとなっていて、その中にいる雪乃は、その世界の機能に関して自然と分かるようだった。その辺りを探ってみる。

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