2.変な意地を張らないで。
少年は、悔いていた。世界は一変してしまった。何をしていても、何を考えていても、寝ていても、起きていても、思考の基底部分に『後悔』と深く烙印されているような感覚。ずっしりと、頭を重くして、そしてギリギリと締め付けるような感覚。肩から首、頭頂部にかけてピリピリして、眼球が指で押し込まれるような鈍い重み、痛みがある。何を考えても、気分は決して晴れない。
去年使っていた教科書と今年の教科書がごっちゃに置かれている勉強机。べつに復習をするつもりではない。ただ適当に並べていて、間にはマンガが挟まっている。壁に向かって座っていても気分は晴れないが、外に出る気もしない。ゲームの内容なんて頭に入ってこないのだが、ただ、なんとなく携帯ゲーム機を開き、弾を避け、そして敵戦闘機を撃墜していた。
そうしながらも、ずっと彼は思っていた。心の中で、繰り返していた。混濁し、流れ、留まり、淀み、繰り返す心の声。
あの時、どうして僕は一緒に帰らなかったのだろうか。嘘をついたのだろうか。クラスメイトからひやかされる?何か起きるとすれば、それだけのことだったのかも知れないのに。変な意地を張らないで、一緒に帰れば良かったんだ。
あの日、コンビニに寄れば良かった。それで、次の日の朝のことが何か変わった訳じゃあないかも知れないが……それでも、僕の彼女との思い出は、一緒にアイスを食べた翌日に彼女が死んだということになり、意地を張って一人で帰ったのが最後……ということではなかったハズだ。たらればの世界。それで何かが変わった訳ではないだろう。だからこそ、悔いが残るんだ。
2013年7月20日土曜日
ブログ アーカイブ
-
▼
2013
(29)
-
▼
7月
(29)
- 試し読み終了・二人のさらに奇妙な日々がスタートした。誰かの叫び Q。23-2.→24.
- 世界の機能に関して自然と分かる。23-1.
- 雪乃は東丸のことを名字で呼ぶ。 同じ世界が広がっている。22-1.→23.
- 私の出番でしょう。22.
- インターミッション③ 今日のキミの決定が。風説 弐。風説α。19.→20.→21.
- 女の子はお腹がならない。18-1.
- 幽霊がうどんを食べる。誰かの叫び 破。18.←17.
- 心の声の言葉遣いに男女差はあれど。16-1.
- 風説 壱。大きく違ったのは。 15.→16.
- 二人で四つ。14.
- リア充爆発しろ!とは。13-1.
- この時のことを一生忘れないであろう。13.
- 誰かの叫び 序。風説b。11.→12.
- 男と女は難しい。10-2.
- この世から失われたモノが再び現れる。10-1.
- 彼と彼女の関係が。 ユーレイって言ったら、やっぱり。9-1.→10.
- 普通の学校生活だった。陰陽道阿部埜彌玖珠。8.→9.
- 風は気持ちの良い感じ。風説A。6-2.→7.
- ゲームが原作となった映画を思い出したり。6-1.
- 風説a。ミレン。5.→6.
- 三柱の神が一体となることで。4-1.
- 生者と幽霊の関係は。神の視点による、神の声であると言える。3-3.→4.
- 少年の真意を探るという意図も込められている。3-2.
- 怖かったから式だけで帰ったんだよ。 3-1.
- お隣さんの女の子が生きていた。起きない事が奇跡的であり。 2-2.→3.
- うどんスープで有名な会社と同じ名前。2-1.
- 変な意地を張らないで。2.
- 愛が地球を救う物語でもある。 1-1.
- ゲームスタート デジタル・カノジョ。 1.
-
▼
7月
(29)