2013年7月21日日曜日

試し読み終了・二人のさらに奇妙な日々がスタートした。誰かの叫び Q。23-2.→24.

23-2.二人のさらに奇妙な日々がスタートした。

もはや見た目的には人間と携帯ゲーム機となってしまったが、二人は交際中のコイビトなのである。もうすぐ新学期が始まる。デートなどをするとしたら、どうするのか?そういう話である。興味本位でゲームの機能の中に『結婚機能』があるのか?聞いてみたら、非常に変な雰囲気になったりした。意味深な答えを返されて、東丸は意味深になっているところに、さらに意味深なことを言われる。

「実は、生き返る方法があるって言ったらどうする?」

「……え。」

「なんてね。」

「……。」

雪乃の言葉に東丸はどきりとした。そして、私もドキリとした。実は、東丸はタッチ一つで雪乃のステータスを確認する事ができた。のだが相手の体調や心を覗き見る事は申し訳ないと思い使用しなかった。その他にはカレンダー機能やスケジュール機能などもあったが、そちらは一通り確認してみた。面白いことに、店の入り口の貼ってあるポスター、彼の街のイベントも祝日などと併せて表示されていた。結構便利である。

こうして、もうきっと、未来もあわせて100年ぐらい使われていそうな文言だが、『こうして二人のさらに奇妙な日々がスタートした』。


24.誰かの叫び Q。

アニメやマンガのキャラが好きだとしても、当然だけど、結婚とかはできない。では、ボクはカノジョの肉体がすきなのだろうか?柔らかい。きっと、触れたら柔らかい。はずだ。人類が結婚とかするのは、子どもを産むためか?子孫を残すためか?では、精神・生命体として生きるカノジョでも、命を遺すことができるのならば?僕が思念体がアウストラルすれば、或いは……。



これにて試し読みが終了です。ここまでで約半分。ゲームの中に入ってしまった雪乃と、東丸の話は、クライマックスに向かっていきます。今後、電子書籍版などを検討しておりますが、どうしても続きを読みたい!という方が折られましたら、『劇団ヤルキメデス超外伝』まで、ご連絡くだされば幸いです。なんだかんだで、私が書いた小説では、一番の長編となりました。

世界の機能に関して自然と分かる。23-1.

23-1.世界の機能に関して自然と分かる。

「そちらはどうなってますか?」

「交差点と信号機。寂れた感じのスポーツ用品店、そちらと同じ通学路と考えて間違いないでしょう。」


雪乃がそう答える。二人は、試しにあのコンビニに向かっている。店に入ると、歯の抜けた店員が「いらしゃい」と声をかけてきた。東丸は、申し訳程度に作られた端の飲食コーナーに行き、雪乃に話しかけてみた。

「……おじさんは、そちらにいる?」

「いるよー。でも、今までと一緒で私のことは見えてないみたい。」

「……なるほど。」

大体の仕組みが分かってきた。雪乃のいる世界にも、東丸がいる世界と同じ世界が広がっている。東丸がTSを開いている間は、カノジョの前に窓が開き、そこから東丸の姿が見れるらしい。東丸自身の姿は窓に投影されるが、窓が閉じている状態でも近くにいれば、どこにいるかは分かるらしい。話しかけられると声が聞こえ、雪乃の声も東丸に届くそうだ。よく観ると、窓が現れる辺りの両側に小さい黒い丸が一つずつ並んでいる。マイクとスピーカーなのだと二人は理解した。

歯の抜けた店員は、東丸の他に客がいないためか、バックヤードという名の自宅に入っていった。二人は、さらに今後のことなどを話し合ってみた。どうやら雪乃のいる世界は、実際にあるゲームのインターフェースと似た作りとなっていて、その中にいる雪乃は、その世界の機能に関して自然と分かるようだった。その辺りを探ってみる。

雪乃は東丸のことを名字で呼ぶ。 同じ世界が広がっている。22-1.→23.

22-1.雪乃は東丸のことを名字で呼ぶ。

「あれ?部屋の中、何か変わった感じ?」

声のする方を見るが雪乃の姿はない。あんまり引っ張る意味もないので(だって冒頭)起きた現象を端的に書いてみると、そこにはニンテンドー3TSがあった。

「わたぬきー?」

雪乃は東丸のことを名字で呼ぶ。どう考えても3TSの中から彼女の声がしている。まさかと思いながら、東丸は二つ折りになっているゲーム機をパカっと開いた。

「あ、いたいた。」

そこには雪乃がいた。雪乃的には、東丸を見つけたつもりなのだろうが、東丸が雪乃見つけたという方が相応しいだろう。幽霊のカノジョは、手の平に収まる携帯ゲーム機の中にいた。そう、私の仕業です。


23.同じ世界が広がっている。

幽霊になった幼馴染の女の子が彼女となり、さらにゲーム機の中に入った。なかなか信じられない状況だが、どこからが信じられない状況なのだろうか。例えば、小説やマンガなどの物語の設定を考えると時に「IF」は一つに留めるという定石がある。例えば、「罹患すると花嫁が死にゾンビとなる奇病(笑)」なるモノを考案したら、それを主として世界感を膨らますべきであり、もしも、その世界に異次元からの侵入者や神などが存在すれば、取り留めないのことになるだろう。

しかし、世界には一言で説明できない現象も存在する。東丸と雪乃は、なるべく状況を理解すべくTSの中の様子と、現実の世界との違いなどに関して、調査することにした。

私の出番でしょう。22.

22.私の出番でしょう。

夏休みにカノジョとカレが出来たリア充カップル。綿貫東丸も、最初は浮かれていた。勿論、先の先を考えれば、浮かれている場合じゃないのだが、「よくある話」。具体的に何をする訳でなくても、その事実だけでウキウキした。その日から、登校も、下校も、なんでもないオシャベリも全てがデートなのである。英語で日付という名前で知った単語を別の意味で使う日々が来たのである。

しかし、彼女。春野雪乃はユーレイ。幽霊の彼女が出来たから、四六時中一緒で、プライベートなんてありゃしない。学校に行っている時とかはともかくとして、せめて、寝る前は一人でいたい。寝る前は特に一人でいたい。女の子は、男のそういう部分をまだ知らない。これは、私の出番でしょう。なんだかんだで、しばらく幽霊との交際が続いたのだけど、ある日の朝……。

「……あれ?」

目を覚ますと雪乃の姿がなかった。いつもは、彼女の方が先に起きて、散歩していたり、夏休みに入る前は学校の準備を手伝ってくれてたり、ふわふわと二度寝をしていたりしていた。念のため押し入れをノックしてみる。返事はなく、中にも気配はない。

いつか来る日が、今日来たのか……と東丸は思ったが、実のところ、私の仕業です。もう既に知っている人も多いと思うけど(知ってないとおかしい)、まぁ、彼の願いを機械の神なりに叶えてみました。

「ふわぁ~あ。よく寝た。」

雪乃の声がする。途端に東丸の表情はぱっと明るくなったのだが、それを雪乃に見られると恥かしいのですぐに抑える。なんだいたのかと、ほっとする東丸。

インターミッション③ 今日のキミの決定が。風説 弐。風説α。19.→20.→21.

19.インターミッション③ 今日のキミの決定が。

人と世界は関係している。例えば、世界が明日全部壊れたら、君らはみんな死んでしまう。世界は人より大きい。世界は人を内包する。だがしかし、世界もまた、人からの影響を受けている。例えば明日、人が全員で自殺するならば、世界から人は消え、そこは人のいない世界となる。その日から、世界のあり方は大きく変わる。

バタフライエフェクト。

人と人も関係している。誰かが誰かを変えたならば、その影響はとなりの誰かに伝わるかも知れない。人と人はつながっている。そして、人と世界は関係している。例えば、誰かが、何かを変えたなら、それは誰かに影響し、世界を変えていく。かも知れない。今日のキミの決定が千年後の銀河をかえていく。かもね。神より。


20.風説 弐

お父さん、このポスター去年のですよ。

お、そうけ。というか、ずっと貼っとったのぅ。

新しいのに貼り変えます?

まぁ、毎年、同じ日付やからな。ええやろ。

今年も賑わいますかねぇ。どうします?

まぁ、分からん。仕入れはいつも通りでええやろ。


21.風説α。


阿部埜彌玖珠が大変なことになっているみたいよ。

何だって!?本当だ!人類における精神世界が死屍累々になろうとしている。

人類全体の深層意識の下部がガックンガックンになっているね。面白いね。

ちょっと、ここいらで選手交代といきましょうか。

すまん!これからしばらくは、観察者として頼みますわ。

という訳で、精神の神(笑)であるカネは阿部埜彌玖珠退治で一時離れます。ここからはワタクシ(せいいっぱいのキャラづくり)機械の神こと、モノがお送りいたします。以上、異次元からの閑話休題でした。

2013年7月20日土曜日

女の子はお腹がならない。18-1.

18-1.女の子はお腹がならない。

「うどんは、嫌い?」

「嫌いじゃないけど、わざわざファミレスじゃあなくても?お店の方が美味しくない?」

あえて言うが、バカップルとでも言おうか。腹がなった不思議はさておき、うどん定食をファミレスで食べるかどうか?という話題で、彼らは夢中になっている。数年前から、もともと身近であった『うどん』という食べ物は、より身近になった。B級グルメなんて言葉も生まれたが、ごくごく普通であった食べ物が、安い、美味いという付加価値がつけられた感じはある。物質の組成だけを考えれば、うどんもパンも、グラタンコロッケバーガーも差異がないことに、気付かない人は多い。

「ファミレスのうどんも捨てたものじゃあない。」

それはさておきとして、彼らは既に『うどん』を食べに行く具体的な算段を立てているが、彼女のお腹がなった不思議に関して補足しておく。女の子はお腹がならない。十二指腸の先は夢の国に繋がっている。そういう話じゃあない。

カノジョは幽霊なのである。声が聞こえるのはテレパシー的なモノかも知れない。でも、幽霊が空腹でお腹を鳴らせた。その音は、空気という物質で満たされた空間に響いたのか?それとも、超概念的な何かとして、彼女のことを視認出来ている彼に対してのみ響いたのかも知れない。

これは一つのあるあるなのかも知れないが、見えない彼女が『うどん』を食べたとしたら、幽霊の彼女の身体の中を通るそれは、どのように見えるのか?そこは興味深いところではある。また、東丸以外には不可視の存在がうどんを食べる時、麺が宙を浮くように見えるのじゃないか?という懸念がありそうだが、実際に麺は宙を浮いていたのだが、何一つ問題は起きなかった。案外、人が食べているところは、注視されてないモノである。

ともあれ綿貫東丸は、この夏休みに幽霊の彼女ができた。春野雪乃は、幽霊の状態で生きた男子と交際(?)をスタートさせることとなった。

幽霊がうどんを食べる。誰かの叫び 破。18.←17.

17.誰かの叫び 破。

これはね!格差社会ですよ!えぇえぇ。生きているということは現実を見ていくということ。それにプラスして、恋愛という非現実を考える余裕があるなんてのは、食う、寝るが足りて、それ以上のナニカを得ることができたリア充なんですよ。学歴、収入、色々な尺度で測られる現代社会において!もっと、生物としての力!生き物としての本能を一つの指標としてですね……!


滅!これが悪の陰陽術『阿部埜彌玖珠』により召喚されし式神です。今、一匹倒しました。まだまだ、沢山いそうです。神様より。


18.幽霊がうどんを食べる。

二人がギクシャクしているところに、東丸に電話がかかってきて、二人とも寄り合いに出るから、どこか外で食べてきて……とのことだった。女の子を焼鳥屋に誘う訳にもいかないので、ファミレスなんかを提案してみる東丸少年でした。付き合ったら一緒にご飯を食べに行く……というのも幼稚な発想だけど、中学生なら仕方がない。さらにアイスを食べた後なのに、ご飯の話をしていたら、お腹まで鳴り出す始末。

「うどん定食とか?」

「うどん……。」

「あ、別にアダ名とかでじゃないからね。」

「あ、いやそうじゃなくて、幽霊がうどんを食べるって……。」

「?」

ここで東丸は、とある話をした。

「あ、それ。読んでなかった。知らない。」

「……あ。そう。」

自分が好きなマンガが読まれてなかったことに対するリアクションの名称って何か?と考えたが、答えは単純でガッカリだ。今まで触れてなかったが、雪乃は寝ている間に死んだためパジャマ姿である。

参考文献。

パジャマな彼女。 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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